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生物資源科学部では、多くの大学とは異なり3年4月から卒業論文(卒論)研究に取り組みます。3年生の間は卒論研究に取り組みながら一部の専門科目の講義も履修することになります。研究室での研究活動という究極的なアクティブラーニングを行いながら、専門科目を受講することで視野が広がり、取り組んでいる研究についての理解も深まっていきます。
本連載では、研究室の学生に研究にかかわる専門科目について語っていただいています。
第6回目は、第3クオーターで開講された「生体分子構造学」について八木研究室の3年生に語ってもらいました。
生体分子構造学は八木先生が担当されている講義です。講義の内容には、これまでの蛋白質研究の歴史と現在の研究の状況の解説や蛋白質を単離?精製する方法の解説、立体構造を形成する上で重要な相互作用についての解説などがあり、生命が示す複雑な現象を理解するための蛋白質の構造に関する知識を深めることができます。また、蛋白質の2次構造のモデルを実習形式で作成するため、理解しにくい立体構造を目で見て確認することができます。
私たちが所属する研究室(分子機械学)では、生物の運動を担う細胞器官のひとつ、鞭毛?繊毛の研究を行っています。私たちが実験に用いている生き物はクラミドモナスと呼ばれる緑藻です。複雑な構造をもつ鞭毛は多数の部品から構成されますが、クラミドモナスでは個々の部品を欠失した突然変異株を得る事が比較的容易です。これら変異株を用いて鞭毛運動におけるそれぞれの部品の機能を明らかにし、鞭毛運動機構の全容解明を目指しています。実験は、本講義で取り上げられる内容と深く関連しており、講義を受けることで研究についての理解をさらに深めることができます。
講義の中でも印象に残っているのは、分子モデルの作成です。二人でペアになり、トリペプチドやαヘリックス、平行型βシートなど、これまでの講義で履修した構造を、模型を用いて実際に自分たちで作成しました。αヘリックスの作成では、3種類あるヘリックスの名前の意味を、アミノ酸の数や回転に注目することで理解でき、それぞれのもつ構造の特徴を考えながら取り組むことで、より深く理解することができました。言葉や紙などの平面に書かれた説明だけでは理解しにくい構造も立体的に見ることができ、また、水素結合やペプチド結合がどのように形成され、繋がれているのかを見ることができ、細かい構造の理解に努めることができました。
(八木研究室3年 福島 咲世, 藤田 咲花)
作成したαへリックスのモデル