本文
生物資源科学部では、多くの大学とは異なり3年前期から卒論に取り組みます。卒論に取り組みながら一部の専門科目の講義を履修することになります。研究室での研究活動という究極的なアクティブラーニングを行いながら、座学で専門科目を受けることにより、専門科目についての理解も深まり取り組んでいる研究について理解も深まります。
本連載では、研究室の学生に研究にかかわる専門科目について語っていただきます。
第3回目は伊原研究室3年生の押川陽香さん、佐々木里菜さんに3年生前期(第1クオーター)開講の専門科目である「生物資源有機化学」(担当 伊原教授)について語っていただきました。
「生物資源有機化学」は3年時の選択科目ですが、2年生で学ぶ生物化学や有機化学の基礎知識が必要です。その基礎知識を更に発展させ、油脂や核酸、タンパク質といった生物資源の概要を理解して、それらを用いた最新のエネルギー生産や物質生産の開発、遺伝子資源の利用等を学ぶことができます。講義では、生物資源に関してニュースや新聞などで紹介された具体例を取り上げ、授業内容をより身近に感じながら、講義を受けることが出来ました。
私たちは、モデル生物である線虫 C. elegansを用いて、細胞の維持や接着などの様々な働きを持つ基底膜についての研究をしています。また、分泌タンパク質の凝集、脱凝集に関わる分子機構の解析やタンパク質の機能化及び損傷を保護する生物資源の探索を通して、分泌タンパク質の機能化に関する研究も行っています。
その中でも特に、講義後半で取り上げた遺伝子資源の分野やバイオリソースの活用、そし最新の遺伝子解析技術である次世代シークエンス、遺伝子組み換え技術、ゲノム編集技術は、私たちの研究室で解析している基底膜の可視化や分泌タンパク質の機能化に関わる研究に必要な知識です。講義を通して、自身が行う実験の背景や様々な研究手法に関する理解を深めることができました。 (伊原研究室3年 押川陽香、佐々木里菜)
モデル生物である線虫(C. elegans)と蛍光タンパク質を使って、基底膜(コラーゲンなどから構成されます)を可視化した線虫です(バイオリソースに登録済み)。