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生命科学コースの研究室紹介の第4回目は,分子機械学研究室(八木研究室)の紹介です。
分子機械学研究室では、細胞がもつ運動装置,鞭毛や繊毛の波動運動発生機構を調べています。鞭毛繊毛の中には,1秒間に100回以上もの速さで波動パターンを繰り返し伝搬できるものもいます。細胞は,この運動により,自分自身や細胞外の物質を移動させることができます。わたしたちは,単細胞の緑藻クラミドモナス(図1)を使って,高速屈曲運動がどうやって生み出されるかを調べています。
研究室では,毎週,前の週に進めた実験の結果を学生が話す機会を設けています。その時には,先輩?同輩から,時によっては後輩たちからも,有益なコメント(ツッコミとも言う)がいただけます(教員も驚くような鋭い質問がたまにあります)。
研究発表の集大成は,年に一度ある学会での発表です。研究会を含めると大小さまざまな規模で開催されますが,ポスターを使って発表したり(例えば図2のように),大きな会場でたくさんの聴衆を前に口頭発表したりします(最近は,会場の大きさの関係で,選ばれた人しか口頭発表できないことが多いです)。生物資源科学部では,3年生から研究室に配属され,早くから研究を始められます。そのため,4年生後半には,学会発表できるくらい研究が進んでいる人もいます(頼もしいですね)。
さて,この5月,私たちは,山口大学理学部の岩楯先生の研究室と研究交流する機会がありました(図3)。ここでは,その際の様子を紹介したいと思います。岩楯先生は八木が大学生のころに所属していた研究室のお隣の研究室のご出身です。岩楯先生は,(鞭毛をもたない)細胞がものの上を這いまわる運動のメカニズムを研究されています。分野が近いこと,また,地理的にも比較的近いこともあり,ずいぶん前から一緒に研究会をやりましょうと話していましたが,なかなか実現できていませんでした。今回,岩楯先生を大学院講義にお呼びする機会があり(図4),10年がかりで(?)交流会を開催できました。
お互いの研究室は,「細胞の運動」という似たテーマを掲げて研究をしていますが,そうは言っても,研究方法も違えば使っている材料も違います(岩楯先生は,魚のウロコの裏についている細胞を研究しています)。交流会では,発表の内容がなかなか相手に伝わらずに,戸惑う学生が続出しました。研究の背景,研究方法を基礎的なところから話さないと,知らない人には伝わりません(図5)。でも,小さな研究会ですので,質疑応答の時間はたっぷりあります。やり取りするうちに,「ああそういうことなんですね」と納得していただけ,ようやくお互いがスッキリするという場合が何度もありました。聴衆に応じて説明の仕方を変える必要がある,ということに学生が気が付けた良い機会となったようです。
研究交流会には,息抜きのためのイベントがつきものです(学生はむしろそちらを期待しています)。今回も,山口大学の方たちと,隣にある備北丘陵公園や隣の市にあるワイナリーに一緒に行く計画をたてて盛り上がっていたところでしたが,あいにくの大雨で断念せざるを得ませんでした。1日目はまじめに研究発表をして,翌朝,雨が上がった後で,大学近くのチーズ屋兼アイスクリーム屋さんに行って,新鮮なアイスクリームを食べながら学生さんたちは楽しく交流をしました(図6)。機会があったら,次回は山口でという言葉を掛け合い,交流会はお開きとなりました。
このように,大学の研究室では,研究の結果を学会に参加して発表するだけでなく,研究が近い分野,あるいは,場合によっては少し遠い分野の研究室とも交流しながら見分を広げ,自らの研究に生かそうと努力しています。
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