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卒業生たちが社会でどのように活躍しているかを紹介する“【生命環境学科生命科学コース】卒業生の声"、今回は齋藤研究室(細胞機能制御学研究室)から卒業生の声(第3弾)をご紹介します。
研究室の卒業生たちですが、生命科学の分野に収まることなく様々な分野で活躍しています。大学での専門に関わる分野に進んだ者、異なる分野にチャレンジする者、結婚などの節目を機に新たな道を歩む者、人それぞれですが、各々が本学で学んだこと、経験したことが広く社会で役立っているという事なのではないでしょうか。こういった企画を機に卒業生同士の新たなつながりも生まれるといいですね。
川崎奈穂さん (広島県立呉宮原高等学校卒 2014年3月生命環境学部生命科学科卒業、2016年3月総合学術研究科生命システム科学専攻博士課程前期修了)
Q 今はどういうお仕事をされていますか?
某コンビニのサンドイッチやハンバーガー等の開発業務を行っています。取引先の方からどのような商品を発売したいか(商品のイメージやコンセプト等)の依頼を受け、それらを自分の手で形にする仕事です。また商品決定後に全国供給に向けて書類の作成等も行います。また、商品開発のためにイメージとなる料理や、トレンドの品などを食べに出かけたりもします(休日も趣味も兼ねて美味しいものを探したりもしています:写真)。自分の名前が大体的に外に出ることはありませんが、ヒット商品を作るべく毎日試行錯誤しながら仕事に取り組んでいます。
Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされていましたか?
研究室、部活、バイトと毎日楽しく過ごしていました。研究室では水素水と白金ナノコロイドを用いてがん細胞を制御することを目的とした研究をしていましたが、研究以外にもスポーツ大会やたこ焼きパーティー等のイベントがあり研究と遊びのメリハリがあり楽しいキャンパスライフを過ごしていました。また、部活はバドミントン部に所属し、部活終わりのご飯やイベント等を通して同級生だけでなく先輩後輩ともに仲が良い部活でした。そのため卒業した今でも交流が続いている、大切な仲間がたくさんできました。
Q5 学生自体に学んだことは社会でどのように活かされていますか?
大学卒業後、大学院へと進学し、一貫してがん細胞の制御に関する研究を行っていました。大学院修了後は食品会社へ就職したため、研究したことが直接仕事へ活かされているわけではありません。しかし、研究で結果が出ない時にその原因を見つけ改善し再度取り組む力や、研究室内の論文紹介や卒論発表、学会発表、修論発表を通じて培った自分の考えを相手に伝える力などは、今の開発業務にも活かせていると感じます。
川崎さんの学部?大学院での研究成果が貢献した論文
Free Radic Res. 2021 Mar;55(3):211-220. doi: 10.1080/10715762.2021.1902514.
Free Radic Res. 2016;50(4):385-95. doi: 10.3109/10715762.2015.1131823.
Q 庄原キャンパスで学んで他の県で就職していますが、広島への思いは?
広島愛はもちろん継続していますし、他県の人にも広島はとてもウケが良いです(笑)。方言が可愛い、お好み焼きが美味しい、宮島がある等、初対面の人でも盛り上がる話題がたくさんあり、”広島”に助けられることも多々あります。広島には美味しい食べ物(お好み焼き、汁なし担々麺、白肉天など…)がたくさんありますので、学生の皆さんには積極的に色々なグルメを堪能していただきたいです(笑)。
Q 最後に何かひとこと
庄原はとても田舎なので初めて来たときはびっくり、はたまたがっかりするかもしれません。ですが自然に囲まれた中で勉強に没頭したり、友達と楽しく過ごしたり、星空観察等田舎ならではの遊びをしたり、1人暮らしならではの時間を満喫したり等、たくさん楽しいことがあります。田舎だからこそ出来ることがたくさんありますし、学生時代だからこそ、この環境で過ごす楽しさがあります!勉強も遊びも充実できる点こそ、このキャンパスの良いところだと思います。
山口裕貴さん (福井県立丹生高等学校卒 2017年3月生命環境学部生命科学科卒業)
Q 今はどういうお仕事をされていますか?
ジボダンジャパン株式会社という香料メーカーで品質管理業務に携わっています。主な仕事には官能評価試験や作業標準書の作成、トラブル対応などがありますが、現在は原料や製品の合否判定処理や新製品の規格設定に関わる仕事をメインに行っています。ひと言で香料といっても多種多様で何千、何万種類もあるため、特性に合わせた対応が必要となり、試験項目や作業も多岐にわたります。覚えることも多く大変なこともありますが、自分が関わった製品が様々な最終製品となり、売られているのを世の中に見ると嬉しくなります。
私は卒業後すぐに今の会社に入社したわけではなく、化粧品メーカーで研究開発職など3年間経験した後、今の会社に転職しました。大学で学んでいたものや前職とは異なる分野への転職でしたが、新たな知識や経験をどんどん得ることができ、楽しく仕事ができています。
Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされてましたか?
研究室での研究、部活、アルバイトなどをして過ごしていました。研究室ではヒト皮膚細胞における分子状水素の有用性に関する研究を行っていました。なかなか計画通りに進まず苦労したこともありましたが、自分のやりたい研究をでき、充実した毎日を過ごせていたと思います。研究室への配属は3年生からでしたが、同じ研究室のメンバーとはとても濃い時間を過ごせたと思っています。課題や研究を一緒に考えながら進めていったのはもちろん、いろいろなイベントを全力で楽しんでいたのがとても印象に残っています。
Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?
現在の仕事は大学時代の研究内容と直結するものではありませんが、研究を通して学んだ論理的な考え方やデータのまとめ方、研究の進め方を考えたりした経験は、今でも確実に活きていると感じています。仕事では自分の意見を伝えたり、相手に同意をもらったりしなければならないことが多々ありますが、適切な根拠を準備して論理的な説明をするように心がけることができているのは、大学時代の経験があったからこそだと思っています。
Q 他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?
庄原キャンパスへ初めて向かった時は、どんどん山の中に入っていくバスの中で不安になったのを覚えています。どこかで、大学とは華やかで都会的な場所にあるものだとイメージしていたため、あの景色に衝撃を受けてしまいました(笑)。しかし、人同士がとても近くて温かく、気持ちよく過ごせる環境でした。あの環境だったからこそ学年や学部、年齢を問わず、さまざまな人との深い関わりをもつことができたのだと感じています。卒業後、大学時代に出会った友人とは離れ離れになってしまいましたが、今でも頻繁に連絡を取っていて、一緒に遊びに行くこともあります。その際には大学時代の話に花が咲きすぎてしまうこともあり、本当に濃密な時間を過ごすことができていたのだと改めて感じます。
Q 最後に何かひとこと
大学生は自分の意志次第で何にでも挑戦できる時期です。小さなことにもたくさんチャレンジして、自分の視野を広げていくと良いと思います。それらの経験は将来の自分にとって必ずプラスになるはずです。様々な人との出会いを大切にしながら、自分なりの試行錯誤を繰り返して大学生活をとことん楽しんでみてください。
福井宥平(旧姓:岡田)さん (兵庫県報徳学園高等学校卒 2016年3月生命環境学部生命科学科卒業)
Q 今はどういうお仕事をされていますか?
大阪大学産業科学研究所の量子ビーム科学研究施設で放射線安全管理、ガンマ線照射施設と加速器を利用した研究?実験のサポートが主な業務です。放射線という言葉を聞くと、どうしても危険なものというイメージを持つ方が多いと思いますが、実験中の事故を未然に防ぐために、様々な安全管理を担当している我々のような職員がいます。具体的には、施設内やその周辺の放射線量を定期的に測定し、通常より高い放射線量を検出していないか等をチェックします。また建屋を含めた照射施設と加速器本体の定期的な点検なども行い、異常や不備は重大事故につながる前に発見、対策をします。
Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされていましたか?
主に勉強?部活動(水泳部)?アルバイト(接客業)のバランスを取りながら過ごしていました。希望の研究室に配属されるためには全体の成績が考慮される場合もあったので、勉強は自分の興味のあるものだけでなく、履修した授業すべてでできるだけ良い成績を修められるよう勉強時間を確保していました。水泳部では、部員の指導や他大学との交流等、自身の鍛錬だけでなく様々なことを体験することができました。アルバイトでは両親や大学の先生以外の働く大人との接点を持つことができ、就職活動の際の自己分析等に役立ちました。
Q庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?
現在の仕事は放射線安全管理が主のため、大学で学んだ生物や細胞の機能に関する知識を直接活かすことができる場面はありません。しかし、2年間の研究室生活で身につけられた論理的な思考力?伝え方や計画を組み立てて物事に取り組むこと等といったスキルは役立てることができています。
Q他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?
庄原市の隣にある三次市に親戚が住んでおり、広島県北地域がどのような環境かは知っていたので、皆がよく言う「田舎」や「雪が多い」という驚きはありませんでした。むしろ人混みや渋滞が無い環境が好きでした。また、庄原キャンパスの学生は広島県外から入学した人の方が多く、過ごしてきた環境も様々な人が多かったため、自分自身の視野や考え方を広げることにも繋がったと思います。
Q最後に何かひとこと
大学生活は時間の使い方を自分で決められる部分が多くなり、色々なことに取り組むことができる反面、何もせずに過ごすこともできます。どちらが良いということは無く、自分自身で考えてバランスを取ることが重要だと考えます。小?中?高まではやらされた勉強が多いという方もいるかもしれませんが、大学生や社会人では課題をこなすだけではなく、自分で考える力が特に重要になると思います。大学生のうちに自分で考えることを癖にしておくと、社会人になってからその癖に助けられる場面もあると思うので、自分で考えることの練習の一環として時間の使い方を意識して過ごしてみてください。
山元真依さん (清教学園高等学校(大阪府)卒 2019年3月生命環境学部生命科学科卒業)
Q.今はどういうお仕事をされていますか?
シミックファーマサイエンス株式会社というCRO(医薬品開発支援)業界の会社で技術者として働いています。業務内容は、製薬企業や大学からの依頼を受けて生体内の薬物濃度測定をすることで、新薬やジェネリック医薬品を販売するための承認を得るお手伝いをしています。製薬企業のように表に名前が出るわけではなく、かつ医薬品が承認されるまでには相当な時間を要するので、なかなかやりがいを感じることは難しいですが、正確かつスピーディーに測定をすることで委託者様から感謝して頂いたり、この医薬品を待っている人に少しでも早く届いてほしいという気持ちで働いています。
Q.庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされていましたか?
研究室に配属されるまでの1~2年生の間は、学業に励みつつ、野球部のマネージャーとしてプレーヤーたちを支えていました。3年生で研究室に配属されてからの2年間は研究室が主体となり、私は舌がん細胞に対する高濃度ビタミンCの影響に関する研究に取り組んでいました。また、学外では4年間続けたアルバイトを通じて、地域の方々と交流したり、庄原キャンパスではほとんどが一人暮らしのため、よく友達と集まりワイワイしていることが多かったです。
Q.庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?
研究室では先生と実験結果を確認しながら次はどのような検討をしていくか方針を決めながら研究を進めます。実験スケジュールについては、各自に任されており、授業等の兼ね合いを考えながら進めていました。初めのうちはなかなか上手くスケジュールを立てることができませんでしたが、繰り返すうちに徐々に調整できるようになりました。そういった学生時代の積み重ねのおかげか、今では測定スケジュールを立てることが難なくこなせており、上司からも私のスケジュール調整を見習って欲しいと後輩たちのお手本となっています。
また、学生時代、細胞が上手く増殖しないことがあり、毎日一つずつ考えられる原因を試しながら原因を追究している時期がありました。今の仕事でも上手くいかないことがあったら何が原因なのか、きちんと究明をしてから次の仕事に進むようにしています。原因究明をする作業はとても大変で、心が折れそうになることもありますが、研究室で毎日コツコツ積み重ねた時間や経験が今に活かされていると感じています。
Q.他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?広島から離れて広島への思いは?
入学が決まって初めて庄原キャンパスに来た時、すごく田舎だなと思いました。初めての一人暮らしということもあり、本当にここで生活していけるのだろうか??という不安が正直ありましたが、田舎だからこそ学べることもありました。例えば、広大な畑や果樹園があるため1年間を通したフィールドの授業を受けることができました。また、一人暮らしの人がほとんどということもあり、友達、先輩や後輩との距離がとても近くて良かったです。卒業して4年経った今でも連絡を取って会うこともありますが、学生時代にすごく近い距離で過ごせたからこそだと思います。
アルバイトを通じて出会った地域の方々は、皆さんとてもやさしくて庄原でのお父さん、お母さんみたいな方が多いです。卒業後の今でも気にかけて下さる方もいます。私は卒業後、広島を離れ兵庫県で暮らしていますが、庄原はわたしの第二の故郷のような感じです。コロナが少し落ち着いたらまた訪れたいと思っています。
Q.最後に何かひとこと
大学生は自由な時間も増え、自主的に行動することが多くなります。色んなことに挑戦するのもありだし、一つの何かに打ち込んでそれを伸ばすのもありだと思います。大学生活の4年間は長いようであっという間に終わってしまいます。将来の自分のためにも幅を広げることができるように頑張ってください。
水島ひかるさん (静岡県浜松市立高等学校卒 2019年3月生命環境学部生命科学科卒業)
Q 今はどういうお仕事をされていますか?
地元静岡県浜松市にある浜松商工会議所で勤務をしています。商工会議所自体あまり聞きなれないかと思いますが、経営相談や自治体との連携など様々な面から地域の中小企業をサポートする経済団体です。就職して4年目になりますが、入所してからずっと、海外との貿易の際に必要となる原産地証明書等、貿易関係証明の業務に従事しています。大学で学んできた分野とも違い、英文の書類を見たり、貿易に関する専門的な知識も必要で頭を抱えるような時もありますが、少しずつ成長していることを感じた時の達成感や、お客様からの感謝の言葉をいただくなどがやりがいとなっています。
Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされましたか?
3年生以降は、研究室での活動がほとんどでした。研究室では皮膚の細胞の老化モデルを作製し、紫外線ストレスに対する応答性について研究をしていました。同学年の友人はもちろん、研究室の先輩、後輩も仲が良く、頻繁に遠出やホームパーティーなどをして楽しみました。庄原キャンパスはゲレンデへのアクセスも良いため、スノーボードサークルに所属し、地元ではなかなか楽しめないウィンタースポーツに挑戦できたのもいい思い出です。
また、1年生の春休みを利用し参加した、カナダのランガラ大学短期語学留学プログラム(大学で募集されていたもの)はとても思い出深いです。自分の英語力の無さも痛感しましたが、それ以上に、様々な国やバックグランドを持つ人と英語という共通のツールで意思疎通ができるということの楽しさを感じ、自分の視野も世界も広がって感じられました。
Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?
現在の仕事は、大学で学んできた理系の分野から全く別の分野のため、知識が直接活かされているものは少ないです。しかし、仕事上 専門的な内容をお客様や上司に説明する機会が多くあり、研究室で毎週行っていた研究の進捗状況や文献などを人前で報告?発表するスキル、資料まとめ等の経験は、非常に役立っていると感じます。今でも理科に関する内容は大好きなので化学や生物学に関係するような案件に当たるとテンションが上がります。
Q 他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?広島から離れて広島への思いは?
正直なところ想像以上にのどかな環境にあまり魅力を感じられない時期もありましたが、その分学問や研究に集中できますし、加えて人と人との距離が近く、繋がりが温かいと感じられる大学生活でした。1年生の時、学生寮で仲良くなった友人や研究室のメンバーとは、社会人になってもよく会ったりしています。庄原キャンパスは他県から来ている方も多いため、様々な価値観や地域性を知れるのが面白く、貴重な出会いがたくさんあったと感じました。振り返ると学生生活では大学時代が一番楽しかったと思います。卒業後は地元に戻りましたが、広島のことは第二の故郷の様に感じています。広島弁やカープの応援ソングが恋しいです。
Q 最後に何かひとこと
大学生活は振り返ればあっという間でした。限られた環境や立場であっても、工夫や捉え方次第で楽しみ方は無限にあると思います。大学は春休み、夏休みが長くありますので、是非学校生活だけにとどまらず欲張っていろいろな場所に足を延ばしてみたり、体験をしてみてください!
みなさんの大学生活が充実したものになりますように願っています。
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