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【生命環境学科生命科学コース】卒業生の声-福永研の4人の卒業生(前編)

印刷用ページを表示する 2022年5月10日更新

    庄原キャンパスにある生物資源科学部(旧?生命環境学部)には、広島県内からだけではなく北海道から沖縄まで日本全国から学生が集まってきます。緑豊かな県北の地で多様な出身地の学生が交流しながら学び、卒業後もさまざまな地域で活躍しています。専門をそのままいかした仕事をしている人や理系ならではの思考法を講義や卒論研究で学んでその後の仕事にいかしている人など、これもまたさまざまです。「県内出身で就職も広島だが、学生時代に庄原で出会った仲間たちとはその後も連絡している」、「県外から来て地元に帰ったけど広島ひいきになりました」、「広島カープファンになりました」、などの声も聞かれます。

 生命環境学科生命科学コースでは卒業生の声をとりあげ、卒業生がどんな進路が歩いているか紹介することにしました。

 今回は、15年目を迎える福永研究室(植物遺伝育種学研究室(旧?植物遺伝資源学研究室))の卒業生4人の声をきいてみました。前編?後編にわけてご紹介します。今回ご紹介するのは、北海道立総合研究機構 中央農業試験場の佐藤圭さん、創建ホームの枝芽以子さんです。

 (後編で松永種苗の藤原あかりさん、愛媛県東温市役所の向成洋平さんをご紹介します)。

佐藤圭さん(現?北海道立総合研究機構 中央農業試験場.2007年入学)

佐藤さん

佐藤圭さん(現在:北海道立総合研究機構 中央農業試験場.生命環境学部生命科学科2007年入学 北海道岩見沢東高等学校卒)

Q 今はどういうお仕事をされていますか?

 北海道立総合研究機構(道総研)の中央農業試験場で、作物の品種改良を分子生物学的手法を用いてサポートする仕事をしています。具体的には、アズキの土壌病害抵抗性を選抜するためのゲノム上の目印となるDNAマーカーの開発をしたり、品種改良にかかる時間を短縮する葯培養という技術を使ってコムギの系統を養成しています。県立広島大学を卒業してすぐに今の仕事に就いたわけではなく、北海道大学大学院の修士課程に進学し、修了後は青年海外協力隊員としてアフリカのタンザニアという国で農業関係の活動をするなどフラフラと渡り歩いてきました。今は出身地の北海道で就職しましたが、将来はまた海外で農業の技術協力に関わりたいと思っています。そのためにまだまだ修行の身です。

 

Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされてましたか?

 研究室では、アワの珍しい形の穂をつくる遺伝子が染色体上のどこにあるのかをDNAマーカーによる連鎖地図を作成して探していました。毎日のようにPCRと電気泳動をして地図を作っていて、なかなか見つけられなかったのですが目的の遺伝子が連鎖地図上に現れたときはとても嬉しかったのを覚えています。また、大学時代から海外への憧れがあり、英語を習得するために2年次終了後に1年休学してワーキングホリデービザでニュージーランドに滞在しました。語学学校での様々な国から来た友人達との交流や農場に泊まり込みで働いた記憶が思い出されます。春休みに高校時代の友達と一緒にインドにも行きました。すっかりハマってしまって、その後も2回行くことになりました。

 

Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?

 大学時代に植物育種学?遺伝資源学に関わる研究室に所属していたので、そこで学んだ知識が今の品種改良に携わる仕事にいかせています。DNAマーカーは大学時代も扱っていましたし、葯培養も育種学の勉強の中で当時学んだ知識です。

 

Q 他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?広島から離れて広島への思いは?

 正直に言うと最初は田舎すぎてあまり楽しくなかったです(笑)。 札幌の大学に進んだ高校時代の友達を羨ましく思っていました。しかし都会と比べて誘惑が少ない分、自分の将来のためのチャレンジやいろいろな活動ができましたし、当たり前ですが大学時代の友人とは庄原キャンパスに行かなかったら出会えなかったと今しみじみと思います。卒業後、広島は離れましたが中国地方出身の人とは地元トークで盛り上がれますし、去年は職場の人と札幌にあるお好み焼き(広島風)屋さんに行きました。小学生のときからファンでしたが、今でも広島カープは応援しています。

 

Q 最後に何かひとこと

 大学生活は社会人と比べると、自分の時間がとても多いと思います。上にも書きましたが、庄原キャンパスは誘惑が少ないのでやる気になれば、いろいろな挑戦ができます。その中で思い通りにならないことや納得がいかない結果になることも多いと思います。私も今までいろいろ取り組んできましたが、満足する結果になったことなどほとんどありませんでした。しかし、そういう困難の中で得られるものもあると私は思います。そんな経験を庄原キャンパスでしてみませんか? そして、大規模農業地帯での試験研究に興味がある方はぜひ道総研へようこそ!!

タンザニア

JICAでタンザニア勤務時の佐藤さん

コムギの葯培養からの再分化

現在の研究 コムギの葯培養:本文中にもあるように葯培養やDNAマーカーは効率的な育種を行うための手法です。これらの基礎的な知識は、福永教授担当の植物遺伝育種学(生命環境学科で開講)で学ぶことができます。

枝芽以子さん(現?創建ホーム株式会社.2008年入学)

枝さん

枝 芽以子(現在:創建ホーム株式会社.生命環境学部生命科学科2008年入学 広島県立安古市高等学校卒)

Q 今はどういうお仕事をされていますか?

  地元の住宅メーカーで、新築営業を1年間経験しました。その後は設計補助?CAD入力?申請業務などの裏方業務を行っていました。今は新設された部署で外構の提案をお客様に行っています。土地や建物の形状によって提案は様々ですが、お客様の要望をかなえることができ、喜んでいただけることがやりがいになっています。

 

Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされてましたか?

 4年間、大学の授業や卒論でアワの遺伝子の研究、スーパーのバイトもしていましたが、特に部活(エスキーテニス部)に没頭していました。広島市内の大学の方々との交流もあり、多くの友人もできました。
 1年生の時は寮へ入っていたので、友人もすぐにでき、試験前に不明点をすぐに友人へ質問できました。その時にできた友人は今でも交流があります。
 大学時代に一人暮らしも経験できたので、社会人になった時にその面での苦労は少なかったと思います。

 

Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?

 研究室に入って、コツコツ研究を行い、やりきることの大切さを学びました。
社会人になって、やらなければいけない仕事がたくさんある中で優先順位をつけ1つずつこなしていく場面が多くあります。また資料をまとめ、お客様へお見せすることもあり、卒業論文での資料まとめや人前での発表する度胸など活かせているのではと思います。

 

Q 庄原キャンパスは他の都道府県の人も多いですがどうでしたでしょうか?

 様々な県から入学しているので、いろいろな考え方を持っている人と出会うことができ、自分の視野も広がったと思います。
 卒業後に地元へ戻った友達に旅行も兼ねて会いに行くのも楽しみの1つです。

 

Q 最後に何かひとこと

 私は生まれ育った広島が大好きで、大学受験も就職活動も広島に絞っていました。庄原キャンパスは他県からくる方も多いので、自分の考え方とは違う価値観の人たちと多く出会えたのも良かったと思います。
 社会人になり、いろいろな考え方を持った同僚や上司、お客様を対応するようになります。大学で経験していたからこそ、考え方の違う人たちの意見を尊重できるようになりました。
 社会人11年目になっても、日々勉強することばかりですが、いろいろな方に刺激を受けながら仕事に励んでいます。みなさんにもチャレンジを忘れず、前に進んで行って欲しいです。

後編に続く。