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この記事では、不定期で生命環境学科環境科学コースの卒業生の声をお届けします。
今回は、日本盛株式会社で活躍されている木ノ上隆太さんの紹介です。有馬研究室(応用微生物学)で学んだことを生かして、お仕事をされています。
主に品質管理業務に携わっています。具体的には、製造部で仕込まれた清酒、また製品に詰める清酒の成分分析を行い、醪(もろみ)の発酵度合いや製品の規格に適しているか等をチェックしています。なかでも、現在私は『糖質ゼロ プリン体ゼロ』という弊社の看板商品の分析を任されており、名前の通り糖質?プリン体が自社基準でゼロであるか分析しています。責任は大きいですが、人気商品ということもありとてもやりがいを感じています。
県立広島大学の有馬研究室では「黒麹菌の形質転換系の構築」というテーマで研究していました。黒麹菌は焼酎や泡盛に使用される糸状菌(カビ)ですか、あまり研究が進んでおらず簡便な形質転換系がまだありませんでした。そこで、形質転換系を構築するにあたり、近縁種の黄麹菌に関しての情報などを用いて試行錯誤した結果、形質転換系の構築に成功しました。広島大学大学院ではゲノム編集を用いて清酒醸造に有用な黄麹菌の菌株育種を行いましたが、ゲノム編集の操作は構築した形質転換系と類似していたため、すんなりと研究を進めることができました。
弊社では黒麹菌を扱っていないため、研究で得た知見を活かせることは少ないですが、実験で使用してきた操作はかなり活かされています。有馬先生には丁寧に実験する重要性をよく教えて頂きました。この心構えは現職の分析業務でも正確な値を出すために必要なことなので、既に癖になっていたことはかなり活かされています。
何かになりたいという夢がなかったので、自然を網羅的に学べる環境科学科で将来どのようなキャリアを歩むか決めたかったからです。
庄原キャンパスでの思い出は部活動が最も記憶にあります。小規模なキャンパスなので学生数は多くなかったですが、様々な部があり掛け持ちも可能だったため、毎日活発な日々を過ごせました。中でも私は軽音部に所属しており、他の部員と好きな曲をカバーしたりライブで演奏したりした日々はとてもいい思い出になっています。3年生から研究室に配属され、研究に励むこととなりましたが、先生や研究室の後輩にも恵まれ、毎日楽しく実験することができました(結果が出ないときは辛かったけど)。
私は応用的な研究がしたいと思っていました。配属された有馬研究室で行った研究テーマも十分応用研究でしたが、「麹菌といえばやはり日本酒だろ」という偏見を持っていたため、麹菌を用いて清酒等の研究を行っている酒類総合研究所を連携大学院として有する広島大学大学院への進学を決めました。
周りは森に囲まれかなり不便な立地にある大学ですが、良くも悪くも自分次第で充実した日々を過ごせる大学です。勉学でも遊びでもそれぞれが好きなことを行い楽しんで、卒業するときに庄原キャンパスで過ごせてよかったなと思っていただけると幸いです。
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生物資源科学部生命環境学科環境科学コースの有馬研究室では応用微生物学の研究をしています。ご関心のある方はぜひウェブサイトをのぞいてみてください。
?有馬助教