本文
大学の研究室ではさまざまな研究が行われており、その成果は国際誌などに学術論文として出版されております。生命科学科食品資源科学コースの上半期のいくつかの論文?著書を紹介いたします。
?Noshita T, Tai A, Matsumoto T, Miura K, Ikeda K, Hamada Y
Structure-activity relationship of flavanone. Anti-degranulation activity of 7-O-substituted hesperetin. Natural Product Research (in press)
レモンなどの柑橘類に含まれるフラボノイドであるヘスペレチンの7位の水酸基を各種アルキル基などで置換した誘導体を合成し、抗アレルギー反応の指標である脱顆粒抑制活性を測定した。その結果、7位水酸基のメチル化およびエチル化は脱顆粒抑制活性を強めることが判明した。本研究は、応用生命科学コース田井研究室、環境科学科松本研究室との共同研究である。
?Noshita T, Matsumoto K, Nishikawa H, Ouchi H, Hamada Y, Saito A, Yamada T
The structure proposed for apteniol D is different from that of the compound obtained by total synthesis. Natural Product Research 31: 163-168
レタス種子の発芽を抑制する化合物として報告されていたアプテニオールDの化学合成を行なった。天然物として報告されているアプテニオールDの機器分析データと合成によって得られた化合物の機器分析データとを仔細に比較?検討した結果、アプテニオールDと報告されていた構造には誤りがあることが判明した。
?津田治敏,柴田恵里
Bioconversion of daidzin to daidzein by lactic acid bacteria in fermented soymilk. Food Science and Technology Research 23(1): 157-162.
Lactobacillus plantarum J A B2001は豆乳での生育が良好で,40℃,48時間培養時に1.0乳酸%を示した。このとき豆乳中のダイジンがダイゼインに変換され,ダイゼイン濃度の上昇が見られた。ただし,乳酸%が0.5以上では,ほとんどダイゼインに変換されなかった。このことから,発酵時の乳酸生成を抑制することにより,ダイゼインが増加すると考えられる。
?Genetics and Genomics of Setaria (edited by A.Doust and X.Diao) Kenji Fukunaga: Chapter 7 Genetic differentiation and crop evolution of foxtail millet). Springer
?福永健二 アワの起源と作物進化 雑草ネコジャラシはどのようにして雑穀アワになったのか? 化学と生物 55(2): 98-104
雑穀のひとつアワの世界中の品種について系統解析や遺伝子進化の研究の総説を英語と日本語で発表した。ひとつめは、アメリカや中国、インド、フランスの研究者との英文学術書であり、その1章としてこれまでの研究をまとめている。ふたつめは高校生などにもわかるような日本語での平易な解説となっている。アワは雑穀のひとつとして世界的に食品として利用されており、日本でも健康食品などとして見直されている。それに加えてC4光合成やストレス抵抗性の研究について、野生種のエノコログサとともにイネ科キビ亜科のモデル植物として注目されている。
今回挙げた以外にも、生命環境学部では学会発表、論文などの形で多くの研究成果を世界に発信しています。