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荻田教授の論文がScientific Reportsに掲載されました。以下に論文内容を紹介します。
Shinjiro Ogita, Taiji Nomura, Yasuo Kato, Yukiko Uehara-Yamaguchi,
Komaki Inoue,Takuhiro Yoshida, Tetsuya Sakurai, Kazuo Shinozaki & Keiichi Mochida
Transcriptional alterations during proliferation and lignification in
Phyllostachys nigra cells
(日本語タイトル:ハチク細胞の増殖と木化過程における転写の変化)
Scientific Reports https://rdcu.be/3AC4
野外で生育している竹において経時的かつ詳細な成長解析を行うことは極めて困
難ですが、荻田研究室で独自に樹立した竹の培養細胞Pn(rpc00047)を活用する
ことによって、竹の成長、特にバイオマスとして非常に重要な二次細胞壁の合成
モデルを無菌環境で構築しました。図1に示すように、植物ホルモンであるオー
キシン(2,4-D)やサイトカイニン(BA)の添加方法を変えることによって増殖
と二次細胞壁の合成(木化:セルロース合成の活性化、細胞壁の肥厚を経てリグ
ニンを蓄積する)が厳密に制御できます。このモデルによって図2に示すように、
各成長段階に関わる遺伝子の発現パターンを網羅的に解析することに初めて成功
しました。本研究は、理化学研究所と富山県立大学生物工学科との共同研究成果
です。
今後、明らかになった種々の遺伝子発現パターンを参考にして、竹の新たな機能
性や未利用資源としての可能性を探求して行きたいと考えています。
図1:植物ホルモン添加による竹培養細胞の成長制御モデル