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野下教授?田井教授の論文がPhytochemistry Letters誌に掲載されました。以下に論文内容を紹介します。
(日本語タイトル:エゾウコギから単離されたとされるPTP1B阻害活性物質の提出構造は誤りである)
Liらによってエゾウコギ(Acanthopanax senticosus)から強いPTP1B阻害活性物質として単離され、構造決定の報告がなされたジアルデヒドは、糖尿病の予防?治療に応用できる可能性が示されていた。本論文ではこのジアルデヒドおよびその構造異性体を合成し、生物活性試験を実施した。その結果、合成で得られた化合物の各種機器分析データと天然から得られたとされるジアルデヒドのデータは全く一致しなかった。さらにPTP1Bを用いた生物活性試験においても合成した化合物は全く活性を示さなかった。以上のことからLiらによってエゾウコギから単離されたとされるPTP1B阻害活性物質の提出構造は誤りであり再検討が求められる。(なお、Liらのデータを仔細に検討したところ、データ改竄の形跡が見られた。)