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生命科学科では、日常生活であまり見ることのないようなユニークな生物をたくさん扱っています。なぜ私たちはそのような生き物を研究しているのか、それを研究することでどんなことがわかるのか?このコーナーでは、そうした「モデル生物」を切り口に、私たちの研究を紹介していきます。今回は、実験材料としてきわめて珍しい、「単細胞ホロゾア」を紹介します!
#1 単細胞ホロゾア (分子進化発生学研究室)
菅准教授の研究室(分子進化発生学研究室)では、世界でも2か所でしか研究されていない「単細胞ホロゾア」という生物を扱っています。もう一か所はスペインのバルセロナです。単細胞ホロゾアは我々動物に非常に近い、いわば親戚なのですが、名前が示す通り、10億年以上たった現在もなんと未だに単細胞状態で生き残っています。菅研究室では、単細胞ホロゾアを研究することで、動物が多細胞化する以前どのような遺伝子をもち、どのような姿をしていたかを知ることができるのではないかと考え、毎日夜遅くまで実験をしています。菅准教授は「純粋な科学的興味のみに基づくこのような研究テーマは、今国立大学でもなかなか始められません。県立広島大学のような地方公立大学でこそ行うことができる研究かもしれませんね」と語っています。
Capsaspora owczarzaki (Sebé-Pedros氏による)。糸状仮足を使って活発に這いまわる。
Creolimax fragrantissima (Sebé-Pedros氏による)。単細胞だが、一時的に(恐らく環境悪化に対応して)動物の胚によく似た集合体をつくる。