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福岡 千晃
2016年度卒業
株式会社ビームス勤務
私は広島市立舟入高校を卒業し,2012年に県立広島大学人間文化学部国際文化学科(地域文化コースの前身)に入学しました。大学入学当初より在学中に必ず1回は海外留学を実現させたいと希望しており,コツコツと準備をして3年次にニューヨークランゲージセンターへの半年間の留学をすることができました。大学の協定校ではなかったため,留学の手続きなどを自分で全部やる必要があったのでとても大変でしたが,半年間の留学生活はかけがえのない経験となりました。
帰国後はアメリカ文学を専門的に学ぶことのできる栗原武士先生のゼミに入り,主にジェンダーの観点からアメリカ文学を分析する手法を学びました。最終的に「F. Scott Fitzgerald長編作品における女性観」というタイトルの卒業論文を執筆しました。Fitzgeraldの作品には,1920年代当時のアメリカ文化における理想的女性像の変化が克明に描かれています。本論の執筆を通して,作品の良さを楽しみながら多角的な観点から見つめ,作家の実人生にも触れてみる面白さが分かり,とても良い経験ができたと感じています。
私は現在,株式会社ビームスの経営企画室グローバル戦略部で海外展開業務を担当しています。今年度はパリの展示会に参加し,留学で培った英語力を駆使して,海外のバイヤーに商品の説明やブランドのコンセプトについての営業活動を行いました。個別の商品の説明だけでなく,海外のフランチャイズパートナーにブランドの世界観を共有してもらうため,きめ細かなコミュニケーションが必要となる仕事です。
グローバル戦略部自体もグローバルな職場で,大学で学んだ異文化理解に関する知識が活かせる職場です。私自身も留学の時に外国で生活することの大変さを感じたので,台湾人や韓国人の同僚と和気あいあいと楽しく働けています。
また,在学中にジェンダーに関する研究を卒業論文のテーマに選んだこともあり,女性のエンパワーメントに向けたプロジェクトの社内公募に応募し,女性の働き方改革のためのワーキンググループにも参加しました。自分の将来的な働き方にも関わる問題ですし,大学で学んだジェンダーの知識を少しでも会社のために活用できればと思って参加を決めました。女性従業員の視点で,総務部門へ様々な提言を行ったことで,時間休(時間単位年休)の導入なども後押しすることができました。女性にとって働きやすい職場は,ジェンダーを問わず働きやすい職場でもあることを実感しています。
私は大学在学中に,自分が本当にやりたいことを改めて考えた結果,元々もっていた教員になりたいという志望を180度転換させ,アパレル業界に飛び込みました。その時見つけた「将来,世界を舞台に仕事がしたい」という目標。その頃は笑っちゃうくらい高望みだと思っていたのですが,30歳になった私は,気付けばその頃めざした場所にいました。熱意と,学生時代に主体的に興味を持って学んできたことがここまで連れてきてくれたのだと思っています。当社の社長はよく「努力は夢中に勝てない」と言われますが,その通りだと思います。みなさんも目の前のチャンスを逃さず,自分の心を大切に過ごしてください。