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​和泉佳歩さん(2020年度卒業)からのメッセージ

印刷用ページを表示する 2023年9月29日更新

和泉さん

​和泉 佳歩

2020年度卒業

株式会社イズミ勤務

県立広島大学の学び

私が県立広島大学を選んだ理由の一つが「宮島学」という授業があることです。この授業は,宮島を訪れる外国人観光客に英語でガイドするのですが,私は英語が得意ではなかったので,行う前は不安でした。実際にガイドするのも大変でしたが,外国人観光客が手水舎に興味をもってくれたり,狛犬の話をした時に自分の国にも似たようなものがあると教えてくれたりしたことはうれしかったです。私が日本文化を伝える側なのに,外国人観光客に外国文化を教えてもらったことは,文化の相互理解という点で貴重な経験になりました。

その後,「宮島学」を履修した友人と一緒に,日本文化を海外に広めることを目的とする留学プログラムに応募し,インドネシアの大学に留学しました。インドネシアでは同国の大学生に厳島神社をはじめとする日本文化を説明しました。インドネシアはイスラーム社会なので,日本文化を理解してもらえるかどうか不安でしたが,二礼二拍手一礼の神社参拝の方法を紹介すると,みんなが実践してくれました。彼らにとって異文化である日本文化が受け入れられたことを実感し,とてもうれしかった記憶があります。

日本文化を正しく伝えるにはたくさんの知識が必要です。宮島でのガイド経験や留学体験を通じて日本文化を見直し,自分の国のことを深く知ることができたように思います。

流通業と地域文化

2021年3月に県立広島大を卒業して株式会社イズミに入社し,福岡県の筑紫野店に配属となり,現在は同じ福岡県の久留米店に勤務しています。筑紫野店と久留米店は自動車で約30分の距離にありますが,2つの店舗は客層や売れる商品,言葉(方言)もまったく違っていて,お客様とのコミュニケーションも変える必要がありました。地理的には近距離の2店舗ですが,客層や消費行動などの差を体感して,「県立広島大学で学んだ多文化共生や異文化理解とはこういうことなんだ!」と気づきました。

県立広島大学で多文化共生や異文化理解を学ぶ前は,「異文化理解=海外文化理解」だと思っていました。しかし,国外だけでなく国内でも言葉が違えば文化が違うのは当たり前だし,生活環境や人生が違えば文化が違うのも当たり前です。このことに気づけたのは,県立広島大学で日本文化を多角的に学んでいたからだと思います。

文化とは私たちの身近にあるもので,私たちはそれを自覚的あるいは無自覚に受け入れながら生活しています。私は大学時代には漠然としか理解していませんでしたが,流通業だけでなくどのような仕事をする上でもこのことを理解しておくことは大切だと思います。私は今,久留米店に勤務していますので,久留米という地域の特性を理解することを心がけています。

また,私が勤務する久留米店の総菜部門には,たくさんのパート社員やアルバイト社員がいらっしゃいます。その中には外国人もいらっしゃいますし,日本人も年齢は10歳代から60歳代まで,男性も女性もいらっしゃいます。国籍や出身地だけでなく,年齢や性別など多様な属性の社員と一緒に,すなわち異文化だらけの職場で楽しく働けているのは,県立広島大学での多文化共生や異文化理解を学んだことが役立っていると思います。県立広島大学で学んだことは流通業の実務に直結するわけではありませんが,多文化共生にせよ異文化理解にせよ,仕事をする上でも生活する上でも本質的に重要で,役に立つことだと感じています。

高校生の皆さんへのメッセージ

高校生の皆さんにお伝えしたいことは,好きなことは簡単にあきらめずに一度はやってみましょうということです。自分の将来がどうなるかなんて自分自身にも他の誰にもわかりません。なので,やりたいことを簡単にあきらめず,むしろ全部やってほしいと思います。いろいろなことをやればやるほど,自分の視野は広がります。お金がないからできない,安全なほうを選ぼう,などと考えて挑戦することをあきらめてしまうのではなく,とにかくやってみてください。県立広島大学は皆さんがやりたいことをバックアップしてくれる大学ですから。