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所属: 生物資源科学部 職位:教授 学位:博士(農学)
研究室:動物生殖生理学研究室
E-mail:yamayasu@(@の後にを付けて送信ください)
研究内容:https://researchmap.jp/read0117363
研究室Web:
動物の雄性および雌性生殖に関する分子生物学的?生理学的研究を行なっています。具体的には、卵子形成、精子形成、受精のメカニズムに関する研究を行なっています。
ステロイドホルモンに着眼した卵胞選抜機構の解明、卵成熟促進因子の探索、卵胞発育期および排卵期のコレステロール新規合成経路の発現と活性化のメカニズム解析、鉄イオンが精子形成に果たす役割、卵胞由来成分を考慮した新たな受精促進因子の探索
卵巣では、卵胞発育過程で優勢卵胞のみが選抜され、卵子が成熟し、排卵されます。一方で精巣では精子が絶えず作られていますが、卵子の成熟と精子形成を司る因子は未だ不明のものが多く存在すると考えられています。私たちの研究室では、この卵胞選抜や卵子成熟、精子形成を誘導する因子を探索し、その役割をマウスおよびブタを用いて詳細に解析しています。また受精時におこる精子や卵子の変化とそれの受精への意義に関する研究も行なっています。さらにこれらの成果を畜産動物の効率的生産やヒトの不妊治療に応用する研究も行なっています。
哺乳動物では、雌では卵巣における卵胞発育と排卵の過程を経ることで生じる卵子形成と、雄では精巣における精子形成の過程を経ることで受精可能な配偶子(卵子や精子)が形成されます。これらの過程は、勝手に起こっているわけではなく、性成熟を迎えると脳下垂体から放出される性腺刺激ホルモンにより卵巣や精巣で産生されるホルモンが重要な働きをしています。しかし、卵巣や精巣でどのようなホルモンが作られて、卵子形成や精子形成を誘導するのかについては未だ謎のままです。私たちの研究室では、性腺刺激ホルモンの刺激を受けた卵巣や精巣で発現するホルモンを網羅的に解析し、これらの因子が卵子形成や精子形成あるいは受精のどの段階に関わっているのかを解析しています。
家畜の効率的生産のためには、哺乳動物の卵子の体外成熟培養技術の向上、精子運動を司る因子の探索、受精卵の発生能を向上させる技術の開発が不可欠です。
私たちの研究室では、まずマウスを用いて卵子成熟や精子形成、精子運動、受精に必要な因子の探索とその機能を、分子生物学的手法を用いて解析し、これらの現象を司るマスターキーを探索する基礎的研究を基盤としています。さらに、マウスを用いて明らかになった重要因子がブタやウシといった家畜でも重要であるのかを検証するというトランスレーショナルリサーチにも取り組んでいます。
また、ヒトでは肥満や痩せを背景とする多嚢性卵巣症候群(PCOS)による不妊症が報告されていますが、私たちの研究室では、高カロリー食あるいは低カロリー食を給餌させたマウスを用いて、PCOSが生じるメカニズムに関する研究も展開しています。
【参考文献】
Tonaietal.,2020.JReprodDev
Nakanishietal.,2021,MolHumReprod
Nakanishietal.,2021,Endocrinology
家畜人工授精師(牛、豚、緬羊山羊)
生殖生理学, 生殖内分泌学, 卵胞発育, 卵胞選抜, 排卵, 卵子成熟, 精子形成, 受精