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所属:地域創生学部 地域創生学科地域産業コース 職位:教授 学位:博士(経済学)
研究室:県立広島大学広島キャンパス1647号室
E-mail:keiko@(@の後にを付けて送信ください)
研究内容:https://researchmap.jp/read0191699
公的年金の所得代替率の低下により,私的年金の重要性が高まっています。このような中,主に私的年金のガバナンスのあり方や私的年金加入者向け教育の検討,私的年金加入者像の分析等の研究に取り組んでいます。
確定拠出年金のガバナンス,私的年金加入者に求められる金融知識,企業年金の選択?運営が企業価値に与える影響,大学生を対象とする金融経済教育の効果,社会人を対象とする保険教育の検討
近年は,年金ガバナンスの観点から,確定拠出年金(企業型,個人型)の運用商品が加入者の利益を図る目的で選択されているかを検証することを主な研究目的にしています。企業型確定拠出年金においては,我が国では制度導入企業の提供する運用商品情報が公表されていないため,制度導入企業を対象に記述式アンケート調査を実施して分析に必要な運用商品のデータセットを構築し,それを用いて確定拠出年金のガバナンスを評価しました。その結果,選択されている投資信託の多くは制度導入企業の関係機関が取り扱う投資信託であり,ランダムに選んだ確定拠出年金向け投資信託よりコストが低いとは言えないこと等を明らかにしました。一方,個人型確定拠年金においては,運営管理機機関が公表している運用商品のデータセットを用いてガバナンスを評価することができます。しかし,分析の結果,個人型確定拠出年金においても,バランス型投資信託の割合が高く,中には信託報酬が高めのものも含まれているといった問題が確認できました。以上の結果から,投資メニューの選定という観点から見ると,確定拠出年金のガバナンスにはまだ改善の余地があると考えられます。今後は,より多くのデータを用いた厳密な分析を行いたいと考えています。
私たちは将来のことがはっきりわからない中で日々、お金に関わる多くの意思決定をしています。例えば、収入を得た時に消費するか将来のために蓄えておくか、蓄えておく場合に預貯金や株式、保険等、多様な金融資産の何を利用するか、将来起こり得る様々なリスクをどう管理するかといった意思決定は誰もが行っているのではないでしょうか。将来のことが完全に予測できない状態を「不確実性がある」または「リスクがある」と言いますが、このような中で意思決定を行うのは、私たち個人だけではありません。企業や政府も、将来が不確実な中でどのような事業を実行するか、どのような方法で資金を調達するか等、企業の存続や国家?地域の成長にかかわる重要な意思決定を行っています。私が専門とするファイナンスは、このようにリスクがある中での各経済主体の意思決定について考察する学問です。
私の研究室に所属する学生は、ファイナンスの基礎的な知識やスキルを修得した上で、それぞれの関心に従って「持続可能な公的年金制度に関する考察」、「投資信託商品の手数料とパフォーマンスの関連性」、「地方経済発展施策とは~人口急減社会を背景に~」、「Jリーグクラブの効率的な資金活用について」等の卒業論文を執筆し、卒業後は地方銀行や損害?生命保険会社、証券会社等の金融機関や、広島県庁、広島市役所、広島商工会議所等の公的組織で活躍しています。
これまで、私は「宮島地域における歩行喫煙等の実態調査とその防止対策の検討(廿日市市と連携)」や「産休?育休中のキャリアアップに向けた公開講座の企画?開講(公民館等と連携)」、「我が国の金融経済教育の充実?発展に向けた検討(日本証券業協会に協力)」等に関わってきました。
現在は、年金ガバナンスの観点から、確定拠出年金(企業型、個人型)の運用商品が加入者の利益を図る目的で選択されているかを検証する研究に取り組んでいます。今後は、確定拠出年金制度を導入している企業や金融機関と年金ガバナンスのあり方を検討していきたいと考えています。また、これまで取り組んできた金融経済教育の研究成果をもとに、中学校や高等学校、地域公民館と、望ましい金融経済教育プログラムを検討し、教育を実践することにも関心があります。
企業年金,私的年金,確定拠出年金,家計の資産選択,金融経済教育,保険教育