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所属:生物資源科学部生命環境科学科生命科学コース 職位:助教 学位:博士(理学)
研究室:県立広島大学庄原キャンパス5210号室
E-mail:hmatsuzaki@(@の後にを付けて送信ください)
研究内容:https://researchmap.jp/read0054133
生物の体を構成する細胞はホルモンなどの細胞外からの信号を受けると増殖や代謝などの機能を変化させて体全体の調和を維持しています。我々は哺乳類の細胞の働きを調節する仕組みを研究しています。
タンパク質リン酸化酵素PKBおよび関連分子の機能調節、がん細胞の増殖制御
ホルモンなどの細胞外の信号物質は、細胞内のさまざまなタンパク質により仲介される情報伝達経路を誘導し、増殖や代謝などの細胞の応答を引き起こします。この細胞内情報伝達の過程が正常に機能することで我々の体は健康に維持されており、もし細胞内情報伝達経路に異常が起こると様々な病気が引き起こされることが知られています。細胞内情報伝達の過程ではタンパク質リン酸化酵素が重要な役割を担っており、ヒトのゲノムには500種類以上のタンパク質リン酸化酵素がコードされています。我々が着目しているタンパク質リン酸化酵素Protein Kinase B(略称PKB)は、細胞の増殖や生存、代謝、運動などの非常に多くの細胞機能を制御しており、遺伝子改変マウスを用いた解析から体の成長や維持に必須であることが示されています。一方、PKBはヒトの疾患にも関与しており、PKBの異常がヒトのがんや糖尿病を引き起こすことも報告されています。我々は、リン酸化修飾によるPKB調節メカニズムに焦点をあて、PKBによるがん細胞の増殖制御やアポトーシス調節の仕組みについて研究を行っています。
我々の体内では細胞がホルモンなどの信号分子を介して情報交換を行っており、信号分子を受けとった細胞の中では、様々な細胞内情報伝達タンパク質が働いて細胞の応答を誘導します。我々が注目しているPKBも細胞内情報伝達を担うタンパク質の一つです。PKBは細胞増殖因子の情報伝達を担っており、細胞の増殖や生存を誘導して体の正常な成長や体の維持に不可欠であることが知られています。一方、様々な医学研究の成果からPKBの異常により細胞ががん化することも知られています。しかしながら、PKBが正常な細胞の働きをコントロールする仕組みについても、がんを引き起こす仕組みについてもまだわからないことが多く残されています。我々は、動物培養細胞を研究材料として細胞の増殖や生存、がん細胞に特有の細胞機能調節におけるPKBの役割を研究することで生命に対する理解を深めるとともに、がんの克服を目指した研究に発展したいと考えています。
がん細胞の増殖抑制作用を有する生理活性物質の探索や作用機序に関する研究も行ってみたいと考えています。
細胞内情報伝達、タンパク質リン酸化酵素、がん、増殖、アポトーシス、