ぶらり途中下車の旅 ~教職員編~

小澤由嗣(おざわ よしあき)先生

県立広島大学保健福祉学部コミュニケーション障害学コース教員

(静岡市 出身)

インタビュー日
2024.3.1
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
まっつー
インタビュアー
まっつー
りほ
インタビュアー
りほ
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
インタビュイー
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
まっつー
まっつー
早速インタビューを始めさせていただきます。よろしくお願いします。
りほ
りほ
よろしくお願いします。

先生のご専門について

まっつー
まっつー
では、先生のご専門について教えてください。
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
私の専門分野は発声発語の困難特に発音のしづらさがある人の支援です。
私たちが研究しているのは、コミュニケーション障害の当事者である患者さんとそのコミュニケーションパートナーしか知らない、日常のコミュニケーションの実行状況 を、その当事者の方から直接教えてもらおうという方法です。これらを活用することで、患者さん中心、クライエント中心の言語聴覚療法がさらに促進されると考えています。つまり、患者さんや家族など、コミュニケーション障害の当事者の方々が自分のリハビリテーションのゴールを自分で決めて、その効果や達成度を当事者の方々自身が決めることができるのではないかと考えています。

コミュニケーション障害学コースの学生と関わる中で感じること

まっつー
まっつー
小澤先生がコミュニケーション障害学コースの学生と関わる中で、何か感じられることはありますか?
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
私が言語聴覚士という職業を具体的に考え始めたのは、大学3?4年生の頃です。それに比べて皆さんの多くは、中学校や高校という早い時期から将来を見据えた準備を始めておられますよね。入学後もその目標に向かって、とても真面目に授業に取り組んでいると思います。早い時期から自分がしたい仕事を調べたり、自分自身の特性と照らし合わせてよく考えて進学して来ているので、言語聴覚士の適性が高い人や熱意が強い人が多いです。教員としても学修の支援のし甲斐があり、ありがたいと思っています。
その一方で、授業で示される内容をこなすだけではなくて、参考文献を探して学修を深めたり、本学の特性を活かして附属診療センターでの教員の臨床場面を自主的に見学するなど、授業以上にさらに時間とエネルギーを傾けて、積極的に学修する人が増えてくれたらなと思っています。
まっつー
まっつー
確かに、コミュニケーション障害学コースには日本全国から言語聴覚士を目指す学生が来るので、それぞれ個性がありつつも真面目な人が多い印象です!
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
そうですね。まっつーさんのように遠い県外から来られる方もいますし、りほさんは広島でしたっけ?
りほ
りほ
はい!そうです!
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
2年生の時、大きな荷物を持ってきていて、「どこから来たんだろう」と思ってたけど広島だったんだよね(笑)
りほ
りほ
恥ずかしい(笑)
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
旅行に行くような恰好しててびっくりしましたよ。
りほ
りほ
私は新幹線通学だったので、新幹線の中だと違和感ないんですけど、学校ついた途端にすごい変な人になりますよね(笑)
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
キャリーケースをゴロゴロして通学していたのがりほさんとの初めての出会いでしたね。ちょっと脱線しましたが、このように県内外から様々な学生が集まってきますね。

言語聴覚士とは

まっつー
まっつー
小澤先生は教員としてお仕事をされる一方で、言語聴覚士としての臨床も続けておられていますが、今一度、言語聴覚士とは何か教えてください。
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
言語聴覚士は、ことばや聞こえの障害を原因とするコミュニケーションの困難や、食べることの困難がある人を支援する専門職です。例えば、相手に伝わりやすい、明瞭な子音?母音の発音が難しいと、意思の伝達に支障を来たすコミュニケーション障害が生じることがあります。これは最近、日本で聞かれる「コミュ障」とは異なる専門用語です。言語聴覚士が支援しているのは、発音の障害のほか、失語症、難聴、吃音など言語聴覚機能の不全によって起こるコミュニケーション障害のある人や、ことばの発達や自閉症スペクトラム症など対人コミュニケーションの発達に遅れがある子どもたちです。そして、食べることへの支援(摂食嚥下障害)も重要な仕事で、チーム医療の一員として他の医療職と連携して取り組んでいます。

言語聴覚士を県立広島大学で目指すことのメリット

まっつー
まっつー
言語聴覚士を県立広島大学で目指すメリットは何だと思われますか?
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
先ほどもお話したように、特に本コースは県内外から学生が集まってくれています。言語聴覚士を目指す学生生活を送る上で、同じ目標に向かって、お互いに意欲的に協力し合うことができる環境、卒業後も連携する関係を築ける環境は何より重要だと思います。
それから、本学には創設29年の教育実績があることです。この実績は、まず第一に、学生さんたちがとても努力したこと、第二に、学生さんの意欲に応える先生方の教育への熱意によるものだと思います。
先生たちは、学内の附属診療センターで臨床活動を続けており、この附属診療センターがあるおかげで、段階的な臨床実習教育を実現しています。
さらに、本学には、卒業後に仕事をしながら学べる大学院博士課程前期、博士課程後期もありますので、プロフェッショナルとしての経験や現場での疑問を、研究という形で発展させて、言語聴覚士の支援技術の向上に貢献することもできます。

言語聴覚士になりたい高校生が今できること

まっつー
まっつー
言語聴覚士になりたい高校生が今できることは何でしょうか?
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
本学の一般入試の場合、共通テストを課しています。受験準備は大変かもしれませんが、こうした高校までの基礎学習は、大学に入ってからの専門分野の学修にも大変役立ちます。
また共通テストに向けて多数の科目を同時並行で学修した経験というのがとても大事で、それが4年後に、同じように多数の科目が含まれる国家試験を受験するときに、必ず皆さん自身を助けてくれます。
専門分野に関しては、日常、私たちが何気なくしているコミュニケーションの意味や大切さに関心を向けることや、自分も相手も大切にするコミュニケーションを実現するにはどうしたらよいかを考える機会を持ってくれたらいいなと思います。それが将来、対象者の支援を実践したり、チーム医療福祉を推進する基盤になると思います。

教員だから知っている、実は〇〇…!

まっつー
まっつー
教員だから知っていることはありますか?
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
本学は1995年に3年制の短期大学からスタートしたのですが、そのときは言語聴覚療法学科という名称でした。
まっつー
まっつー
へぇー
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
あ、知らなかった?(笑) その5年後に4年制大学になるときに、「コミュニケーション障害学科」、現在の「コミュニケーション障害学コース」という名称になりました。「コミュニケーション障害学コース」という名称には、ことばや聞こえの「症状」だけではなく、こうした症状のある「人」の生活、つまりコミュニケーションに視点を置く言語聴覚士を育てたいというコースの理念が表れています。
まっつー
まっつー
コース名にそのような意味が隠されていたんですね!

県立広島大学のイチオシポイント

まっつー
まっつー
県立広島大学のイチオシポイントを教えてください。
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生
小澤先生
保健福祉学部は創設29年の歴史があり、実践力のある保健福祉専門職の卵を育ててきました。卒業生は広島県内はもちろん全国で地域の保健福祉を支える人材として活躍しています。当然のことと思うかもしれませんが、皆さんの目標は、4年後の国家試験合格という短期的な目標だけではありませんよね。本当の目標である、資格取得のその先ですね、プロフェッショナルとしての生涯にわたる成長を見据えた学修をサポートしていきたいと思っています。これからも安心して入学していただける大学であるよう努力したいと思います。
りほ
りほ
私は卒業目前なので、そのように言っていただけてとても心強いです!
まっつー
まっつー
ではこれでインタビューは以上となります。ありがとうございました!
りほ
りほ
ありがとうございました!
小澤由嗣(おざわ よしあき)先生

小澤由嗣(おざわ よしあき)先生

県立広島大学保健福祉学部コミュニケーション障害学コース教員

静岡市出身

浜松市発達医療福祉センターほかで言語聴覚士として勤務後、1995年広島県立保健福祉短期大学言語聴覚療法学科入職(その後、広島県立保健福祉大学、現県立広島大学に改組)。

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