先輩教えて!
けんひろのこと
- インタビュアー
- ひまわり
- インタビュイー
- Iさん
Iさん
千葉大学 人文公共学府 公共社会科学専攻修士 1年
(人間文化学部 国際文化学科 英米文化コース)
(広島県立福山誠之館高等学校 出身)
- インタビュー日
- 2021.11.10
- ひまわり
- まず、県立広島大学で所属していた学部と現在の所属を教えてください。
- Iさん
- 県立広島大学では人間文化学部国際文化学科英米文化コースでした。
現在は、千葉大学人文公共学府公共社会科学専攻修士1年です。
- ひまわり
- ありがとうございます!
1冊の本との出会い
- ひまわり
- なぜ大学院に入学しようと思ったのですか?
- Iさん
- 元々高校生の時は勉強が嫌いで、でも大学に入学して勉強が好きになって、そこからですね。将来どういう風になろうかなと考えたときにこのまま勉強を続けて研究者になるのが面白そうかなと思ったからです。
- ひまわり
- 勉強が嫌いだったんですか!?どうして勉強が嫌いなものから好きなものに変わったんですか?
- Iさん
- 大学1年生の時の夏頃だったと思うんですけど、高校の教科書や参考書を整理していた時に、現代社会の参考書を見返していてたまたま見たページの右下にあったコラム欄で紹介してあった、マイケル?サンデルの「これからの正義の話をしよう」っていう政治哲学の本に出会ったんです。それを読んで、今まで勉強をきちんとしてこなかった身として「こんなに面白い学問があるんだ!」ってなってからですね。
- ひまわり
- たまたまみつけた本から始まったんですか!?
- Iさん
- そうですね。高校の時は元々理系で、あまり勉強する方ではなくて実は高校の時に就活していたんです。でも公務員試験を受けた時に面接で落ちてしまって、専門的に勉強を深くしようと考えたことが無かったので、この本に出会ってからって感じですね。
- ひまわり
- ほんとに人生を変えた本ですね!!
2つの選択肢
- ひまわり
- 次に県立広島大学に通っていた時に経験された留学について聞かせてください!Iさんはアルスター大学唯一の一期生の方とお聞きしましたが、なぜ誰も行ったことのない大学に留学しようと思ったんですか?
- Iさん
- 自分が勉強を進めるにあたって、2つ選択肢がでてきました。1つはどこか他の大学に編入する、もう1つは留学をするという選択肢で、その中でアルスター大学は交換留学として通うことができるという利点がありました。また、当時のイギリスはブレグジットが問題になっている時だったんです。アルスター大学がある北アイルランドはその問題の核心の地域になっていて、ちょうど政治学を通じてそのことも学べるということでタイミングが良かったっていうのが決め手ですね。
(ブレグジット???イギリスのEU(欧州連合)離脱問題のこと)
留学中の勉強
- ひまわり
- 留学先では政治哲学を学ばれていたんですか?
- Iさん
- そうですね、それこそ政治哲学をやっていたサンデルに影響を受けて研究することになったので、政治哲学や政治学を中心に扱っていました。実際留学してからは、40年前くらいに日本で流行した「ポスト構造主義」というフランス哲学の思想をヨーロッパは結構重視していて、そういった思想を中心に扱っていました。
- ひまわり
- 留学中は英語で哲学を学んでいたんですか?
- Iさん
- 予習は日本語で、講義やゼミは英語でやっていました。レポートの下書きとかは結構ごっちゃになっていて、日本語も英語も使いました。
- ひまわり
- 日本にいても政治哲学って難しいイメージがありますが、それを外国で、しかも英語で学ぶことは、めげそうになりませんでしたか?
- Iさん
- そうですね、最初の半学期は訛りとか言語的な問題が大きくて、何言っているのか分からなくてそういった面ではめげそうになることはありましたけど、モチベーション的な面ではやめたいなとかはなかったです。
- ひまわり
- すごいです!留学してから1年間はとにかくがんばってやる!みたいな感じでしたか?
- Iさん
- そうですね、でも楽しかったっていうのが大きかったですね!
目的をもって学び、時には息抜きも
- ひまわり
- 留学中はどのように過ごしていましたか?
- Iさん
- 基本的に学期中は授業の予習復習をメインにしていて、やっぱり北アイルランドは訛りが強い地域なので、いきなり授業に臨んでも内容が良く分かりませんでした。だから、まずは日本語の本を電子書籍で読んで、この哲学者はどういうことを言っているのかというのをある程度理解した上で授業を受けていたので、少し時間的な大変さはありましたね。
- ひまわり
- 訛りが強いことはよく聞きます!留学前の英語力はどのくらいあったんですか?
- Iさん
- 日常会話が出来るくらいで専門的な哲学の用語は全く知りませんでした。
- ひまわり
- そうだったんですね。じゃあ、留学することが決まってからは英語の勉強をしましたか?
- Iさん
- 語学留学というよりも、実際の政治哲学を学びに行きたかった気持ちの方が大きかったので、英語の勉強は実はそれほどしていなかったです。
- ひまわり
- 目的をもって留学しているのがすごいです!休日はどのように過ごしていましたか?
- Iさん
- 友達と一緒にどこかに行ったり、長期休暇は1人でヨーロッパをあちこち周ったりしていました。
- ひまわり
- 1人で周っていたんですか!?
- Iさん
- そうですね!10か国はいかないと思うんですけど、飛行機が安かったので1週間くらいどこかに滞在したりしていました。
- ひまわり
- すごい!
- ひまわり
- 留学中、困ったことがありましたか?
- Iさん
- イギリス料理が口に合わなかったです、、、(笑)地元の朝ご飯で、アルスターフライっていうのがあったんですよ。その料理が全部揚げてあって1000キロカロリーくらいあるもので、朝からこんなに高カロリーの料理を食べてと言われ、「何を言っているんだ!?」ってなりました(笑)
- ひまわり
- 中々すごいですね!(笑)じゃあ、食事はどうされていたんですか?
- Iさん
- 元々、スパゲッティとか作ることが得意だったので、自分で作ってましたね。外食とかはほとんどしてないです。後、現地のスーパーでパックのサラダを買ってきたんですけど、サラダじゃなくて草を食べているような味だったんです、、(笑)ヨーロッパを1人旅行した時に食べたご飯があまりにもおいしく感じました。(笑)
- ひまわり
- そんなに口に合わなかったんですね(笑)
リアルを学ぶ
- ひまわり
- 逆に何が1番良い思い出として残っていますか?
- Iさん
- 学業的なところで言えば、やっぱり実際にイギリスでどういう問題が起きていて、それに向かってどうすればいいのかということや、哲学的な流行りを知れたことです。かなりインパクトがあるものでした。でも、個人的に1番楽しかったのは1人でヨーロッパを駆け巡ったことですかね!(笑)
- ひまわり
- 実際に起きている問題をリアルに知れるっていうのがほんとにすごいですね!
留学したことで心境の変化はありましたか?
- Iさん
- そうですね、やっぱり勉強に対して専門的な知識を深めていけたのは大きかったです。後は、1年間留学できたことですかね。自分でもなんとかやっていけたんだって自信になりました。
- ひまわり
- 素敵です!政治哲学の魅了される部分はどこですか?
- Iさん
- なんだろう(笑)言語化するのが難しいんだけど、例えば民主主義って普段当たり前のように聞く単語だけど、いったいどういうものなのかっていう理念を深く考えたことってあまりないと思うんですよ。例えばその理念を深めていく時に、他の既存の考え方と何が違うのか、それはそもそもどういうものなのか、など、今まで知らなかったことを知り、さらにそれを解き明かしていきたいという哲学的な深みに潜っていく感じがやっぱり楽しいですね。
- ひまわり
- すごい、、、!私はまだ感じたことのない領域だ(笑)
着実にステップアップして
- ひまわり
- 今後の夢はありますか?
- Iさん
- 大学教員になりたいっていう夢があるのでそれに向けてこれからも研究を続けていきたいです。それで今は、研究をなんらかの形で発表して業績を積んで、ステップをしっかりと踏んでいくことができたらそれが一番望ましいかなと思います。
本を読む大切さ
- ひまわり
- Iさんは1冊の本と出会ってから人生が変わっていきましたが、今も本は結構読まれていますか?
- Iさん
- 研究する分野によると思うんですけど、政治哲学を研究する上ではまず本を読むのが一番なので、沢山読んで理論を自分なりに構築したり、明らかになっていない問題を明らかにしようとしたりしています!
- ひまわり
- そうなんですね!大学生の時も本を沢山読まれていましたか?
- Iさん
- そうですね、大学で勉強を始めてから沢山読んでいました。
- ひまわり
- やっぱり、本を読むことは大切ですか?
- Iさん
- 本を読むことは学ぶ上で一番良いと思います。私の人文科学の分野では体系的に理論が書いてある本を読んで、自分なりの考え方を持って、それを積み上げていくことはとても大きな価値があると思いますね!
- ひまわり
- オススメの本があったら是非教えてください!
- Iさん
- そうだな、、(笑)マイケル?サンデルの「実力も運のうち」です。これを読むと、今の社会が良い社会なのかを考えるきっかけになると思うので、読みやすいし哲学的にハッとさせられるという点で良いと思います。「良い社会とは何だろう?」という政治哲学を考える良いきっかけになればいいなと思います。
- ひまわり
- 哲学の本を読むことが無いので初めて聞きました!
目標を明確にして!
- ひまわり
- 最後に、県広を受験しようと思っている高校生にメッセージをお願いします!
- Iさん
- 自分の目標をしっかりと立てて、自分なりに大学生活をつくっていく必要があると思います。まずどうしたいのか考えるのが一番大きいと思っていて、そこさえ立てればじゃあ次はどうしたらいいのか?というのが自ずと見えてくるので、とにかく夢を持て!ということにしておきましょう!(笑)
- ひまわり
- ありがとうございます!!
インタビューを終えて
Iさんのお話を聞いて、自分の人生が変わるきっかけはささいなことなんだなと思いました。そのきっかけに気づけるかどうかは自分次第だなと思ったので、最後のメッセージで言われていたように私も目標をしっかり立てていきたいと思いました!